小児用肺炎球菌ワクチンについて


肺炎球菌とは
肺炎球菌は多くのこどもの鼻やのどにいる身近な菌です。普段はおとなしくしていますが、こどもの体力が落ちたときなどに、いつもは菌がいないところに入り込んで、いろいろな病気を引き起こします。

肺炎球菌が起こす病気
 細菌性髄膜炎 脳や脊髄をおおっている髄膜に菌が侵入して炎症を起こす病気です。日本では毎年約200人の子どもが肺炎球菌による髄膜炎にかかり、このうち3人に1人がなくなったり、重い脳障害を残すことがあるのです。

 敗血症
血液の中に持続的に菌が入り込んで、いろいろな臓器に感染し、髄膜炎や重い病気を引き起こしてきます。

 肺炎
症状の重い肺炎にかかります。

 中耳炎
カゼなどで抵抗力が落ちたり、乳幼児の耳の構造的な問題により中耳のなかに肺炎球菌が侵入して起こります。肺炎球菌が原因の中耳炎は何度も繰り返し治りにくいことがあります。

 その他、副鼻腔炎、骨髄炎、関節炎なども起こしてきます。

小児用肺炎球菌ワクチンの詳細(従来の成人用肺炎球菌ワクチンとは異なります。)
 プレベナー13水性懸濁注:血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F及び23Fによる。

予防できる病気
肺炎球菌による髄膜炎や敗血症、肺炎、敗血症、中耳炎など。

接種時期
生後2ヶ月以上から9歳以下まで。
肺炎球菌による髄膜炎は約半数が0歳でかかり、それ以後は年齢と共に少なくなります。
5歳を過ぎての発症もありますが、5歳くらいまでは危険年齢です。2ヶ月になったらなるべく早く接種しましょう。
供給は十分ですので、すぐにできます。

接種スケジュール
 標準 生後2〜6ヶ月 1回目から間隔27日以上あけ2回目と3回目(1才未満)60日以上    あけて4回目
 生後7ヶ月からの場合 7〜11ヶ月 1回目をして27日以上あけて2回目を接種 60日以上の間隔を開けて3回目を接種します。
 1歳のからの場合   1歳 1回目をして60日以上の間隔を開けて2回目を接種します。
 2〜9歳の場合     1回のみ接種します。

効果
2000年から定期接種しているアメリカでは、ワクチンで予防できる肺炎球菌による重い感染症が98%減りました。現在、世界の約100ヶ国で接種され、うち43ヶ国では定期接種されています。
とても大切なことですが、このワクチンとHibワクチンを接種しておくとこどもの重症な髄膜炎はほとんど予防でき、さらに肺炎球菌による重症肺炎と中耳炎の3分の1を予防することができるのです。中耳炎を繰り返す子はペニシリン耐性肺炎球菌が多いのでとても有効と思われます。上の兄弟が中耳炎をくり返しているようなお子さんは予防のためにこのワクチンをしておくと良いでしょう。

副作用と安全性
ワクチンを接種した後に、発熱や接種部位の腫れなどの副反応が起こる頻度は、他のワクチンと同程度です。

実施するときの問題点
1)多くの人が肺炎球菌感染症のことをよく知らない。説明をするだけでかなりの時間がかかる。
2)2ヶ月から始めたいが、3ヶ月前に小児科に来る赤ちゃんが少ない。これはとても大切なことだが、生後1ヶ月でかならず一度小児科にかかって欲しい。
3)三種混合やHIBワクチンと重なる。→同時接種が可能。抵抗がある人はかなりいるかもしれないが、問題はないと考えられている。諸外国では通常同時接種が行われている。現在同時接種が普通になっています。

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