ロタウイルスワクチンについて
ロタウイルスワクチンは生後6週間から受けるワクチンですロタワクチンは定期接種になりました。2020年8月1日生まれの児より無料になっています。
ロタウイルスとは
乳幼児に嘔吐や下痢を起こす感染性胃腸炎(いわゆる嘔吐下痢症)の主要な原因ウイルスです。国内では約80万人が感染すると考えられています。乳幼児ではひどい場合は脱水症を起こし、輸液が必要になったり、激しい場合は死に至ることもあります。(年間20人前後といわれています)5歳になるまでに約15人に一人が入院するといわれています。このロタウイルス感染を予防するためのワクチンがロタワクチンです。
ロタワクチンについて
ロタウイルス胃腸炎から分離したヒトロタウイルスを材料にして、その病原性をほとんどなくし(弱毒化)、培養細胞で増殖させて精製した後にシロップ状にした飲む生ワクチンです。
ロタウイルス胃腸炎の原因になる主なウイルスは5つの血清型(G1,G2,G3,G4,G9)がありますが、2011年に日本で承認されたロタウイルスワクチン(ロタリックス)はロタウイルスの中でももっとも一般的なG1血清型をもとに作られた単価ヒトロタウイルスワクチンです。(A群ロタウイルスG1P(8))。
ロタウイルス胃腸炎は初回感染時の症状がもっとも重く2回目以降は症状が軽くなります。単価ヒトロタウイルスワクチンはこの性質を応用していますので、自然に感染したときと同じように、他の4つの血清型に対する交叉反応性中和抗体が産生されることによって、胃腸炎の重症化を抑える効果があることが認められています。
新たに承認されたロタウイルスワクチン(ロタテック)はこれらの型のすべてを抑えることができるとされています。
このように2種類のどちらかを接種することになります。
ロタテックについて
海外ではこちらが主流になっています。3回接種の5価ワクチンです。1回目を生後6〜24週までに、その後2,3回を接種間隔4週以上あけて接種し、生後32週までに完成します。
現在、このタイプのワクチン(ロタテック)の導入しています。カバーできるロタウイルスワクチンのタイプが多いこと(5価)と少し期間を長めに設定できます。
接種方法
1回目 初回接種推奨期間 6〜24週
2回目 10〜28週
3回目 14〜32週
1回量 2ccとロタリックスよりも少々多くなります。
※初回接種は生後14週6日までに行うことが勧められています。
副作用の一つである、腸重積症の予防のためです。
効果
90%以上の子どもが重症のロタウイルス感染症による脱水症を予防できたとされています。 ロタリックスについて
2回と回数が少ないことが利点です。
接種方法
チューブに入った1回分(1.5ml)のワクチンを、生後6週から24週までの間に2回、経口投与します。
1回目は生後20週までに受けてください。2回目は1回目から27日(4週間)以上あけて接種します。
効果
92%以上の子どもが重症のロタウイルス感染症による脱水症を予防できたとされています。 副反応(共通)
易刺激性 7.3% 下痢 3.5% 咳そう、鼻漏 3.3%
その他海外の報告では 鼓腸 腹痛 皮膚炎 腸重積などです。
腸重積:まれに報告があるようです。接種後ぐったりする、強く泣く、泣くのと不機嫌を繰り返す、嘔吐を繰り返す、イチゴゼリー状の血便など腸重積の症状がある場合には医師にご相談ください。
重症複合型免疫不全(SCID)の乳児には接種できません。
実施するときの問題点
1)多くの人が必要性がわかりにくいため、ためらっている間に接種期間を逃してしまいます。接種期間が短いのが難点です。
2)接種時期がHib, 肺炎球菌、三種混合と重なる。→同時接種が可能であり、当院では同時接種をおすすめしています。
3)生後6週から始めたいが、3ヶ月前に小児科に来る赤ちゃんが少ないので周知徹底ができません。生後1ヶ月頃に一度小児科にかかって欲しいです。
★嘔吐下痢症が流行する時期にはインフルエンザが流行し、小さい赤ちゃんにはRSウイルスが流行します。小児科外来は大変な忙しさになります。しかも、みんな嘔吐をしてぐったりしていて、点滴や入院が必要になることもあります。また横ではインフルエンザのために高熱で苦しそう、RSウイルス感染の赤ちゃんは呼吸が苦しそうで、みんながとてもしんどそうです。
インフルエンザも検査で時間がかかります。ロタウイルスの検査はさらにかかります。ひとたび入院が必要になると紹介状で、点滴でも同じくさらに時間がかかります。そのため待ち時間もとても長くなり私たちも非常に心苦しいのです。また、入院が必要でも病院でももういっぱいで入院できないこともあります。そのためどの病気も少しでもひどくならないようにしたいと思っています。と言うわけで是非に受けていただきたいのです。
早く国として定期接種に組み込んで欲しいですね。
すでに世界中で120カ国以上の国で行われています。いつものことですが、日本はワクチンは本当に遅れています。 ★1ヶ月の児からできるだけ小児科に受診を始めてください。小児科専門医でない方が健診をしたり、ワクチンをするのは良いことではありません。