食中毒
食中毒は食品中に細菌が増殖して、ある一定数以上の生菌や菌が産生した毒素の摂取により発症します。
発症機序により、@毒素型,A感染型に大きく分けられます。
@は産生された毒素を食物とともに摂取することにより起こります。
Aは食物とともに摂取した生菌が腸管内で増殖することにより起こります。
上記以外に生体内毒素型(中間型)があり、原因菌が感染した、食物を食べ感染を起こし、感染自体とその菌が腸管内で産生する毒素の両方によって発症するものです。 原因菌
黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ サルモネラ菌 キャンピロバクター菌、病原性大腸菌、エルシニア菌、セレウス菌、ウエルシュ菌などです。
赤痢菌、腸管出血性大腸菌、チフス菌、パラチフスA菌など感染力の強いものは二類あるいは三類感染症として取り扱い、食中毒とは呼びません。
症状と経過
@とAで異なります。
毒素型は潜伏期間が短く、発熱がなく、下痢は水様便が多く見られます。
感染型は潜伏期間がより長く、発熱を伴いやすく、粘血便も見られます。
細菌によっても症状が異なります。
一般的には腹痛、嘔吐、下痢です。発熱は感染型のものに多く見られます。便だけではどの細菌であるかは分かりません。
対症療法によってほとんどは治癒します。
診断
便の中の菌を培養して調べ、細菌が検出されれば確定します。
治療
細菌によって違いますが、最初に症状が強い場合は抗生物質を使うことがあります。それ以外は整腸剤などを使うのみです。強い下痢止めは使いません。
症状が強い場合は絶食にして、輸液などを行います。入院が必要なこともあります。
食事
食事療法が重要です。
下痢が激しいときは、水分だけにします。お茶、ポカリスゥエット、おもゆなどを与えます。水分は多く取らせましょう。
少し便が良くなったら、便と同じ固さのものを少量ずつあげます。
乳製品、冷たいもの、油で揚げたもの、繊維の多いものは避けます。
下痢のときの食べ物を参考にしてください。
注意すること
生のものは食べないこと。
動物などにさわったあとは手をよく洗いましょう。
便が良くなっても便の培養で2回菌が陰性になるまで検査を行っておきましょう。
春から夏にかけて、急速に患者さんが増えてきます。この時期は特に気をつけてください。
(文献 28 31)